孤独であった少女に愛情を
今日は、祖母に打たれた。

今日は、母に叩かれた。

高校生になりもう1年が過ぎていたころ

母や祖母の暴力が増え、私の体はアザばかりになっていった。

「Aさん、その顔の傷どうしたんですか?」

ある日、私は顔に傷を付けてしまった。
母が叩いた拍子に私はよろけて頬に傷をしたのだ。

先生の手伝いをしに資料室に行くと、先生は私の頬を見る。

「転んでしまったんです。」

そう言うと、先生は怪訝そうな顔をした。

先生は少し納得のいかない風だったが、私たちは各自作業を始める。

私は上の方の棚に資料を取ろうと手を挙げた。
その拍子に、服の裾がフワッとまくれた。

(だめ。手首には昨日のアザが…。)

私は資料を取らずサッと手を下ろす。

先生に気づかれなかっただろうか?
焦りでバッと振り返ると、先生と目が合って
サァッと血の気が引いていくのがわかった。


「そのアザ、どうしたんですか?」

先生は少しけわしげな顔をして私に問う。

「なんでもありません。」

私は裾を強く引っ張った。

「なんでもない訳ないでしょう。」

「なんでもないです。」

今すぐにでも、ここから逃げ出したい。

先生はゆっくりと私に近づいてきて、そして私は後ずさりする。
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