孤独であった少女に愛情を
帰宅すると、家の中はまだ悲しみで溢れていた。

『Aが死んだらよかったのに。』

あの言葉は、呪いのように私の耳から離れなかった。

でも、私はもともとこの家では良く思われていなかったから仕方のない事だった。
名家で知られるA家。
姉は、学問において他と比べものにならない程秀でており。
妹は、人形のように美しい容姿の持ち主だった。

そしてその学問・容姿の両方を備えて生まれたのが私だったのだ。


私は姉にとっては長女としての威厳をおびやかす存在だった。
祖父母を含め家の者にとっては末の妹が一番可愛い存在だった。

なおかつ、女が代々仕切る家。
冷淡美人が望ましいなか、
私の容姿はあまりに幼く身長も高くない。
威厳のあるものではなかったのだ。

だから、この家にとって私はとても都合の悪いものだった。

だから、祖母のあの言葉は当然のもの

だった…
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