孤独であった少女に愛情を
誤魔化すように職員室を出てしまった事を少し気にしていた私だった。
けれどあれから、先生はそれに関して触れてくることはなかった。
が…

「Aさん、ちょっと手伝ってくれなませんか。」

先生はやたらと私に手伝いを頼むのだ。

今日もそうだ。

「この資料をまとめて欲しいんです。」

この前にどうしてそう私にばかり頼むのか、と聞いた事があった。
すると『何と無くです。』
そうあっさりと返されてしまった。

もう放課後に教室や資料室で先生の手伝いをするのが日課になりつつあった。

「そういえば、数学の先生が褒めていました。
また模試で全国1位だったと。」

「ありがとうございます。」

「Aさんは好きな食べ物とかありますか?」

「特には、でもクレープは好きです。」

「そうなんですか。では今度手伝って貰ってるお礼に買ってきます。」

「先生は何が好きなんですか?」

「そうですね、私は玉子焼きですかね。」

ずっとこの調子でたわいもない話をしたりして。

そしてそれが、私にとっての安らぐ時間にもなりつつあったりもした。
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