ワケあって、元彼と住んでます。
「高屋さん、どうしたの」



社用車を運転していた鳴海さんが、助手席の私に話しかけてきた。

あの昼休み中、不動産会社に電話をしてみたけど、まだ正月休みだったのか繋がらなかった。



「やっぱりまだ行きづらい?」

「え?……あぁ、」



私の離婚に、なぜか全く関係の無い鳴海さんが責任を感じている。



「違いますよ、もう仕事で会うことはなくなったのでだいぶ吹っ切れてます」

「そう?これ何回も言ってるけど、もし遭遇しちゃって嫌な気持ちになったらいつでも言ってね」

「わかってます。毎回ありがとうございます、ほんとに」



元旦那のことなんてすっかり忘れて、今は元彼のことで悩んでいるなんて絶対言えない。


あぁ、瞬ちゃんの鍵どうしよう……。

またもや強制退去の文字が頭に浮かぶ。

広すぎる部屋を持て余してるから、いっそのこと、そっちの方がいいのかもしれないと思ったけど、引越し費用がないことを思い出してさらに落ち込む。



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