ワケあって、元彼と住んでます。
そうこうしている間に、車は元旦那が務めている出版社に着いた。

受付で名前を書いて、入館証を受け取る。

鳴海さんが開拓したここは、最初、趣味の専門誌を扱う出版社だったけど、最近は一般文芸やらウェブ漫画やらジャンルを問わず扱うようになった。

元旦那も、出会った当初は専門誌系の部署にいたけど、異動したのか会社自体を辞めたのか、去年辺りから姿を見ていない。



最上階の応接室で社長に新年の挨拶をしてから、各部署の上長さんのところへ行く。

私は毎回のように鳴海さんの後ろにくっついてニコニコとしているだけだった。



「あ、駒澤さん!」



ウェブ漫画を担当する部署から出た鳴海さんが、向こうから来る男の人に手を振った。


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