ワケあって、元彼と住んでます。
「……あぁ!鳴海さんと高屋さん、ご無沙汰してます!」
一昨年まで専門誌系の部署にいた駒澤さんだった。
30代半ばでかなり恰幅のいい男の人。
多趣味なのか、幅広いジャンルの知識を仕事上の雑談のなかで教えてくれた。
「一般に移ったんだよね、どう?」
「いやぁ、なかなか面白いですよ。今まで縁がなかったんで食わず嫌いしてた部分もあったんですが、活字もまたハマりますね」
「さすがだねぇ」
心底感心したように鳴海さんが唸った。
「高屋さん、元気?なんかすごい久しぶり」
「元気ですよー」
「水島も一般にいるよ、会わなかった?」
「あ、辞めてなかったんですね。たぶんいなかったと思います」
「作家との打ち合わせが多いからねぇ」
久しぶりに聞く元旦那の名前だった。辞めてなかったのか。
ちらりと隣を見ると、鳴海さんがハラハラしながら私と駒澤さんを交互に見ていた。
その様子が少しおもしろい。
「じゃ、時間できたら今度は一般に長居してください」
鳴海さんの様子に気づいたのか、話をさっと切り上げて駒澤さんが離れていった。
「僕達も帰ろうか」
「そうですね」
その帰り道、気を遣われたのか、鳴海さんがカフェでケーキを奢ってくれた。
「藤井くんには内緒ね」と、向かいに座る鳴海さんが笑った。
一昨年まで専門誌系の部署にいた駒澤さんだった。
30代半ばでかなり恰幅のいい男の人。
多趣味なのか、幅広いジャンルの知識を仕事上の雑談のなかで教えてくれた。
「一般に移ったんだよね、どう?」
「いやぁ、なかなか面白いですよ。今まで縁がなかったんで食わず嫌いしてた部分もあったんですが、活字もまたハマりますね」
「さすがだねぇ」
心底感心したように鳴海さんが唸った。
「高屋さん、元気?なんかすごい久しぶり」
「元気ですよー」
「水島も一般にいるよ、会わなかった?」
「あ、辞めてなかったんですね。たぶんいなかったと思います」
「作家との打ち合わせが多いからねぇ」
久しぶりに聞く元旦那の名前だった。辞めてなかったのか。
ちらりと隣を見ると、鳴海さんがハラハラしながら私と駒澤さんを交互に見ていた。
その様子が少しおもしろい。
「じゃ、時間できたら今度は一般に長居してください」
鳴海さんの様子に気づいたのか、話をさっと切り上げて駒澤さんが離れていった。
「僕達も帰ろうか」
「そうですね」
その帰り道、気を遣われたのか、鳴海さんがカフェでケーキを奢ってくれた。
「藤井くんには内緒ね」と、向かいに座る鳴海さんが笑った。