ワケあって、元彼と住んでます。
会社に戻ってからは、藤井くんの書類作成を手伝ったり明日の準備をしたりして時間を潰した。

定時を知らせるアラームが部内に響くと、鳴海さんがここにいる全員に帰るよう促した。

「お疲れ様でした」の挨拶が飛び交い、コートを着た会社員の群れが出口へ向かう中、私もそれに続いた。



さっきまで社外にいたのに、たった2時間で外の空気が一段と冷えている。
郊外に向かう車がいつものように長い行列を作っていた。

駅に向かいながら瞬ちゃんに電話をかける。
呼出音を聞きながら歩く。



『……はい』

「あ、瞬ちゃん？
今仕事終わってこれから帰るから」

『おー、早いね。お疲れ様ー。じゃあ待ってるね』

「はーい」

「彼氏か？」

「！？」



電話を切った瞬間、声をかけられて驚いて振り向く。
コートのポケットに両手を突っ込んだ相馬が立っていた。



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