ワケあって、元彼と住んでます。
「まぁダメだったとしても、」



駅の改札を通り抜ける相馬の後ろについていく。



「抱えてる仕事はまだあるから、ちょっと泣くくらいだな」



相馬はなんでもないと言い聞かせるように笑った。



「それでも泣くんだ」

「泣くだろそりゃ。必死になって産んだ我が子が日の目を見ねえのは」

「相馬ってほんと仕事好きだよね」



ちょうどいいタイミングで電車が来た。
それに2人で乗り込む。

電車に揺られている間、何度も瞬ちゃんのことを言いそうになった。
だけどその度に相馬は遮って仕事の話をむりやり続けた。
よっぽど酒の席の楽しみとして取っておきたいらしい。


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