ワケあって、元彼と住んでます。
着替えることを忘れて、ページをパラパラめくってみる。
ちょうど、主人公の男の子が歳上の女性に告白するシーンで止まった。

やっぱり何度読んでも好きなところは変わっていなかった。
小説なのに少女漫画みたいで好きだと言った私をきっと瞬ちゃんは覚えていないけど、私はその後の瞬ちゃんの言葉を覚えている。



「香穂、」



瞬ちゃんの声と同時にドアがコン、と鳴った。



「っはい!」

「ごはん食べた?」

「まだ、食べてない」

「じゃあ着替えたら食べに行こう」


そういえば夕食の予定をまだ何も考えていなかった。

部屋から出てきた私を見て、瞬ちゃんが笑った。



「着替えてないじゃん」

「いいの、このままで。行こう」
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