早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜

少々心配になった私は、なにかしてあげられないだろうかと考えを巡らせ、隣の彼に協力を求める。


「冴木さん、お願いがあるんですけど……」


キョトンとする彼にちょっとした頼み事をすると、快くOKしてくれたので、さっそく鬼頭さんのもとへ向かう。

そばに寄って顔を覗き込んだ瞬間、彼女は我に返ったように目を見開いた。


「鬼頭さん、お疲れ様です。よかったら、これから冴木さんと三人でご飯食べに行きませんか？」


明るく問いかける私に、彼女は驚きと困惑が混ざった顔をする。

とても単純な、皆で食事をするという方法だが、手っ取り早く元気を出すには、やっぱり美味しいものを楽しく食べるに越したことはないと思う。

三人で食事をしたことはないから、チームメンバーとしての仲をもっと深められるかもしれないし。

鬼頭さんはこういう誘いに乗り気にならなそうなイメージだけど、その場合の対処法も一応考えてある。

その予想通り、彼女は眼鏡を押し上げて遠慮がちに目を逸らす。


「いえ、私は……」

「牛丼、お店で食べれば卵追加できますよ」