早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
そんな彼女をまじまじと見つめていた冴木さんが、若干身を乗り出して言う。


「鬼頭さん、自然に笑えるじゃないですか。すごくいいですよ、今の表情」

「えっ」


突然褒められて不意を衝かれたのか、鬼頭さんはギョッとしたように眼鏡の奥の目を丸くした。

私も同じことを思っていたのでうんうんと頷いていると、冴木さんが魅力的な笑みを湛えてさらに続ける。


「あと、俺も鬼頭さんのデザイン好きです。これからもいろいろ教えてください」


おお……別に告白じゃないのに、というか、自分に言われているわけでもないのにドキッとしてしまった。当の本人はきっと動じないだろうに。


「……あ、ありがとう、ございます……」


消え入りそうな声が聞こえてきたので視線を前に向けると、ほんのり赤く染まった顔を俯かせ、肩をすくめる彼女がいる。

あ、あの鬼頭さんが……乙女になってる! 意外!

照れまくる姿はとっても可愛らしくて、こちらもニンマリしてしまう。彼女の心の内を覗けただけでなく、新たな一面まで見ることができて嬉しくなった。

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