早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
今頃になって鬼頭さんの発言に信憑性を感じ始めるも、彼がぱっとこちらを向いた拍子に、その考えは頭の隅っこに追いやられた。
「キョウちゃん、家どこ? 近くなら送るよ」
「ああ、大丈夫ですよ! お気になさらず」
普段となんら変わりない調子で聞かれ、私は軽く手を振って遠慮した。
気持ちはありがたいが、家に久礼社長がいると知られたら、どえらいことになってしまう。
すると、冴木さんは小首を傾げ、探るように私を見つめて問う。
「もしかして、彼氏いる?」
「や、彼氏は……」
否定しようとして、言葉に詰まる。これまで同じことを聞かれたときは〝いません〟と否定していたのに、どうしてか今は、尚くんの存在をまったくないものにはしたくない。
かと言って、旦那様がいるという事実を打ち明ける勇気はまだないので、考えを巡らせてこう答えることにした。
「彼氏はいないけど……好きな人なら、います」
ちょっぴり恥ずかしくて、ほんのり火照る顔を俯かせた。
本人に告白しなきゃいけないのに、これだけで恥ずかしがっていてどうする!と、心の中で自分を叱咤する。
「キョウちゃん、家どこ? 近くなら送るよ」
「ああ、大丈夫ですよ! お気になさらず」
普段となんら変わりない調子で聞かれ、私は軽く手を振って遠慮した。
気持ちはありがたいが、家に久礼社長がいると知られたら、どえらいことになってしまう。
すると、冴木さんは小首を傾げ、探るように私を見つめて問う。
「もしかして、彼氏いる?」
「や、彼氏は……」
否定しようとして、言葉に詰まる。これまで同じことを聞かれたときは〝いません〟と否定していたのに、どうしてか今は、尚くんの存在をまったくないものにはしたくない。
かと言って、旦那様がいるという事実を打ち明ける勇気はまだないので、考えを巡らせてこう答えることにした。
「彼氏はいないけど……好きな人なら、います」
ちょっぴり恥ずかしくて、ほんのり火照る顔を俯かせた。
本人に告白しなきゃいけないのに、これだけで恥ずかしがっていてどうする!と、心の中で自分を叱咤する。