早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
○ 半熟な片恋 ○
セカンドキスの糖度は測定不能
手際よくシェイカーを振ったバーテンダーが、三角形のグラスに淡い黄色のカクテルを注ぐ。
バーカウンターの上には、ホルダーに吊り下げられたたくさんのワイングラスが、照明が反射してシャンデリアのように輝いている。その下で、私はカクテルが作られる様子を興味深く眺めていた。
こういうところに来たのは初めてだ。今日のようにネージュ・バリエの暑気払いという名目でなければ、未成年の私には縁のない場所だから。
ビルの二階にあるここは、尚くんがロゴデザインなどを手がけたフレンチレストラン。今はバーラウンジのスペースを私たちが貸し切り、立食パーティーが行われている。
店内はカジュアルシックな雰囲気で、外にはバルコニーもあり、本格ビストロを楽しめる人気店だ。
普段から予約でいっぱいなのだが、今夜は久礼社長様のコネでなんとかしてもらったらしい。さすがだ。
二十名ほどがわいわいと談笑しながら、料理とお酒を楽しんでいる中、私はひとり寂しくソフトドリンクを頼むべくカウンターにやってきたのだった。