早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜

「どうしたんですか？　鬼頭さん。ホラー映画のヒロインみたいな声出して」

「こ、このまま三人で話しましょう！　三人がいいです」

「冴木さん、苦手なんですか？　ゲームの話で盛り上がれそうだなと思ったのに」

「いいいいえ、苦手なわけでは……」


あたふたしまくる鬼頭さんに、泉さんは無邪気な質問を投げかけている。

不思議そうにしていた泉さんだったが、しばらくしてピンときた様子だ。〝はは～ん〟とでも言いたげなニヤけ顔になり、「な～んとなくわかったかも」と頷いた。

そして、ずいっと身体を前のめりにして、きっちりポニーテールと眼鏡はいつも通りの彼女を、真剣な表情で見つめる。


「鬼頭さん。ただ想ってるだけで実る恋って、現実にはほとんどないですよ。男が好きになるのは話しやすい子とか、一緒にいて癒される子がほとんどですから。もしくは、ナイスバディな可愛い子」


当たらずとも遠からずなその意見に、鬼頭さんは目をしばたたかせたあと、「……どれも当てはまりません」と、ボソッと呟いた。

鬼頭さん……もう認めたも同然じゃないですか。ああ、無表情だけど可愛い。