早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
鬼頭さんがゆっくり顔を上げる。そこにはわずかな希望が浮かんでいるように見え、これから彼女がいい方向に変わっていきそうな予感を抱いた。
「じゃあ私、呼んできますね」
嬉しくなった私は意気揚々と腰を上げ、カウンターに並んでエンジニアの社員と話している冴木さんのほうへ向かおうとする。
しかし、鬼頭さんはまだ心の準備ができていないらしい。
「ああでも、ゲームの話をするとなると、私が重度のゲーマーだということを露呈しなければならないわけで……!」
「もうバレてますって」
頭を抱えて悶える彼女に、泉さんが冷静なツッコミを入れた。そして、あーだこーだとひとりごちる鬼頭さんに構わず、片手で口を隠して私にこそっと伝える。
「キョウちゃん、とりあえず彼を引き止めておいて」
「わかりました」
了解して、鬼頭さんが決心するまでの間、冴木さんと話しているべく、私はカウンターに向かった。
ちょうどエンジニアのおじさまが離れていったので、入れ違いになる形で彼の隣を陣取る。
「冴木さん、お疲れ様です」
「あ、おつかれ、キョウちゃん」
いつもの笑顔を見せた彼は、「なにか頼む?」と聞いてくれる。私は小さく首を横に振り、テーブルに置いてある自分のグラスを指差した。
「じゃあ私、呼んできますね」
嬉しくなった私は意気揚々と腰を上げ、カウンターに並んでエンジニアの社員と話している冴木さんのほうへ向かおうとする。
しかし、鬼頭さんはまだ心の準備ができていないらしい。
「ああでも、ゲームの話をするとなると、私が重度のゲーマーだということを露呈しなければならないわけで……!」
「もうバレてますって」
頭を抱えて悶える彼女に、泉さんが冷静なツッコミを入れた。そして、あーだこーだとひとりごちる鬼頭さんに構わず、片手で口を隠して私にこそっと伝える。
「キョウちゃん、とりあえず彼を引き止めておいて」
「わかりました」
了解して、鬼頭さんが決心するまでの間、冴木さんと話しているべく、私はカウンターに向かった。
ちょうどエンジニアのおじさまが離れていったので、入れ違いになる形で彼の隣を陣取る。
「冴木さん、お疲れ様です」
「あ、おつかれ、キョウちゃん」
いつもの笑顔を見せた彼は、「なにか頼む?」と聞いてくれる。私は小さく首を横に振り、テーブルに置いてある自分のグラスを指差した。