早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
「スイッチ、切ったままでいいですよ。少なくとも私の前では、ラクにしていてください」
こちらに顔を向けて目を見張る冴木さんに、私はにこりと微笑みかける。
「いつでも誰にでも、笑顔で接しなくたって、冴木さんのことを嫌いになる人はきっといません。だって、元々持ってる人柄が素敵だから。それは作り物じゃないでしょう?」
真面目に仕事と向き合って、誰の悪口も言わず、人の気持ちを汲み取ることができる。そういう人は、内面から魅力が溢れているものだ。
冴木さんの良さは、とっくに皆が知っているだろう。だから私以外にも、彼が心を開ける人はたくさんいるに違いない。そういう存在を増やせば、もっと生きていきやすくなるはず。
私は全力で鬼頭さんを推したい。外側だけ見ているとふたりは正反対だけれど、きっとお互いの気持ちが理解できるだろうから。
ますますうまくいきそうな気がしてきて、私は彼の意識を彼女のほうへ誘導してみようと試みる。
「冴木さんが素をさらけ出せるのは、私だけじゃないはずですよ。たぶん──」
「わかった」
〝鬼頭さんとか〟と続けようとしたとき、真顔でなにかを考えていたような冴木さんに遮られてしまった。
こちらに顔を向けて目を見張る冴木さんに、私はにこりと微笑みかける。
「いつでも誰にでも、笑顔で接しなくたって、冴木さんのことを嫌いになる人はきっといません。だって、元々持ってる人柄が素敵だから。それは作り物じゃないでしょう?」
真面目に仕事と向き合って、誰の悪口も言わず、人の気持ちを汲み取ることができる。そういう人は、内面から魅力が溢れているものだ。
冴木さんの良さは、とっくに皆が知っているだろう。だから私以外にも、彼が心を開ける人はたくさんいるに違いない。そういう存在を増やせば、もっと生きていきやすくなるはず。
私は全力で鬼頭さんを推したい。外側だけ見ているとふたりは正反対だけれど、きっとお互いの気持ちが理解できるだろうから。
ますますうまくいきそうな気がしてきて、私は彼の意識を彼女のほうへ誘導してみようと試みる。
「冴木さんが素をさらけ出せるのは、私だけじゃないはずですよ。たぶん──」
「わかった」
〝鬼頭さんとか〟と続けようとしたとき、真顔でなにかを考えていたような冴木さんに遮られてしまった。