早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
ドキリ、と心臓が揺さぶられた。ときめきというより、動揺のほうが大きい。
ど、どうしよう。たいした取り柄もない私を好きになってくれたことはとてもありがたいけれど、私は鬼頭さんとの恋を応援したいのに!
ここはとりあえず、私の恋愛感情は尚くんにしか持てないことを伝えておかなければ。
「あの、冴木さん……気持ちは本当に嬉しいんですが、私の想いはこの先もきっと変わりません」
「それはわからないよ。恋人じゃないなら、まだ俺にも可能性はあるだろ」
きっぱりと返され、私は口をつぐんだ。同時に、結婚している事実を隠していることに罪悪感を覚える。
黙り込むことしかできずにいると、彼はいつもの可愛さを潜め、男らしい力強さを露わにして言う。
「とにかく、君を特別に想ってるヤツがここにいるってことだけは、覚えておいて」
私は胸が早鐘を打つのを感じながら、「……はい」と答えるしかなかった。他にどうしたらいいのか、恋愛経験の乏しい私にはわからない。
そのとき、扉が開いたらしく中の音が聞こえてきた。振り返れば、ほろ酔いの社員が数人バルコニーに出てくる。
彼らとちょっとした言葉を交わしたあと、冴木さんが「困らせてごめん。そろそろ戻ろっか」と小声で言い、ひとまず頷いた。
ど、どうしよう。たいした取り柄もない私を好きになってくれたことはとてもありがたいけれど、私は鬼頭さんとの恋を応援したいのに!
ここはとりあえず、私の恋愛感情は尚くんにしか持てないことを伝えておかなければ。
「あの、冴木さん……気持ちは本当に嬉しいんですが、私の想いはこの先もきっと変わりません」
「それはわからないよ。恋人じゃないなら、まだ俺にも可能性はあるだろ」
きっぱりと返され、私は口をつぐんだ。同時に、結婚している事実を隠していることに罪悪感を覚える。
黙り込むことしかできずにいると、彼はいつもの可愛さを潜め、男らしい力強さを露わにして言う。
「とにかく、君を特別に想ってるヤツがここにいるってことだけは、覚えておいて」
私は胸が早鐘を打つのを感じながら、「……はい」と答えるしかなかった。他にどうしたらいいのか、恋愛経験の乏しい私にはわからない。
そのとき、扉が開いたらしく中の音が聞こえてきた。振り返れば、ほろ酔いの社員が数人バルコニーに出てくる。
彼らとちょっとした言葉を交わしたあと、冴木さんが「困らせてごめん。そろそろ戻ろっか」と小声で言い、ひとまず頷いた。