早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜

変に思われただろうか。目が合った一瞬、なんとなく怖い顔をされたように見えたんだけど、気のせい？

なんか、前にもオフィスで似たようなことがあったな……とデジャヴュを感じていると、斜め前にいる冴木さんが、やや心配そうに私を見ていることに気づいた。


「キョウちゃん、大丈夫？　顔が強張ってるよ」

「えっ」

「具合悪い？　お酒飲んでないのに酔っ払っちゃった？」


目の前の泉さんも、茶化しつつも気にかけてくれるので、私は笑顔で首を横に振る。


「いえ、全然大丈夫です。お腹はいっぱいだけど、まだ飲めますよ」

「野々宮はそろそろお帰りの時間だろ」


突然、頭上から落ち着いた低音ボイスが降ってきた。振り仰げば、尚くんが無言の圧力をかけて私を見下ろしている……。

そういえば、『お前はあまり遅くならないうちに帰れ』と忠告されていたんだった。今の時刻は十時で、それほど遅くもないし過保護さ全開だが、不機嫌そうなので仰せの通りにしよう。

素直に従うことにした私は、苦笑を漏らして皆に頭を下げる。