早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
でも、それはせめて私たちが完璧な夫婦になってからにしたいという思いもある。私が告白して、それを受け止めてもらえたら、胸を張って彼の妻だと言えそうだから。

そんなことを考えていると、こちらに彼の手が伸びてきて、お決まりのように髪を撫でる。


「俺は見せつけたいよ。お前がなにより大事で、特別な存在だってこと」


甘く、深みのある声が紡がれ、私の心臓が大きく波打つ。


「キョウが初めて中学の制服着たときも、友達関係で泣いたり笑ったりしてたときも、見惚れるくらい綺麗なウェディングドレス姿も。全部、俺だけが知ってるんだって」


彼は私の髪を指に絡め、これまでの人生にお互いが深く関わっていることを再認識するかのごとく、独占欲を露わにした。

……どうしたの、尚くん。そんな、切なげで愛おしそうな目で見つめられたら、今の言葉には愛が隠されているんじゃないかって、期待しちゃうよ。

でも、もしかしたらお酒のせいなのかもしれない。甘いセリフも、とろけそうな瞳も。

間に受けないほうがいいかも、と冷静に考え、私は苦笑を浮かべてあしらう。
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