早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
〝結婚〟の二文字が重く響く。お父様が認めるくらいだ、きっとふたりはお似合いのカップルだったのだろう。
なのに、なぜ関係が悪化してしまったのか。未和子さんは続ける。
「そこで父が、『SHINDOUの専属デザイナーにならないか』って誘ったの。でも、尚秋はネージュ・バリエの社長になることを選んだ。父はプライドの高い人だったから、結構なショックだったみたい」
原因を聞き、私はぽかんとしてしまった。
専属デザイナーになることを断ったから、お父様の機嫌を損ねてしまったの?
それだけで……と言ったら語弊があるかもしれないけれど、もっと深刻なものかと思っていたから拍子抜けする。
「なんというか……意外な原因ですね」
「呆れるでしょう。それまで尚秋に頼んでた広告も、急に『君のデザインは合わない』って言い出すし、交際まで反対して……。子供みたいで本当に馬鹿馬鹿しいわよね」
未和子さんは頬杖をつき、心底呆れた様子で吐き捨てた。
苦笑することしかできずにいると、彼女はどこか遠くに視線をさ迷わせ、独り言のように言う。
「まあでも、父が尚秋にきつい態度を取るようになったのは、私を思うが故のことでもあったんだろうな」
「未和子さんを思うが故……?」
なのに、なぜ関係が悪化してしまったのか。未和子さんは続ける。
「そこで父が、『SHINDOUの専属デザイナーにならないか』って誘ったの。でも、尚秋はネージュ・バリエの社長になることを選んだ。父はプライドの高い人だったから、結構なショックだったみたい」
原因を聞き、私はぽかんとしてしまった。
専属デザイナーになることを断ったから、お父様の機嫌を損ねてしまったの?
それだけで……と言ったら語弊があるかもしれないけれど、もっと深刻なものかと思っていたから拍子抜けする。
「なんというか……意外な原因ですね」
「呆れるでしょう。それまで尚秋に頼んでた広告も、急に『君のデザインは合わない』って言い出すし、交際まで反対して……。子供みたいで本当に馬鹿馬鹿しいわよね」
未和子さんは頬杖をつき、心底呆れた様子で吐き捨てた。
苦笑することしかできずにいると、彼女はどこか遠くに視線をさ迷わせ、独り言のように言う。
「まあでも、父が尚秋にきつい態度を取るようになったのは、私を思うが故のことでもあったんだろうな」
「未和子さんを思うが故……?」