早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
首を傾げて聞き返すと、彼女は神妙な顔つきになり、小さく頷く。


「私たち、二年付き合ったんだけど、その間私はずっと不安を抱えてた。尚秋の中には、私以外の女の子がずっと住みついていたから」


──ドクン、と心臓が大きく揺れ動いた。同時に目を見張る。

尚くんの中にいた、未和子さん以外の女の子って、まさか……。


「それって……」

「あ、別に浮気とかじゃないのよ。彼の近所の女の子で、片親だから昔から気にかけてたみたい」


補足された詳しい情報で、やはり私のことだと確信した。

未和子さんも知っていたんだ、私の存在を。幸い、顔までは知らないようだけれど……。

乱れ始める鼓動と気まずさを感じながら、彼女の表情が切なさや悔しさが混ざったものに変化していくのを見つめる。


「それでも私は嫉妬してた。相手が何歳だって、同じ女だもの。尚秋がその子に向けるものが恋愛感情じゃなくたって、常に思われていることが羨ましかった」


口調は穏やかであっても、彼女の苦しさが伝わってきて、胸がしくしくと痛む。

思いもしなかった。私が尚くんの近くにいることで、誰かを悲しませていたなんて。
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