早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
まん丸な形だったり、火花が生き物みたいにあちこちに飛んでいったり。様々な花火を見上げながら、私は独り言をこぼす。
「こんなにじっくり見たの久しぶりかも」
「俺も。この歳になると男同士では花火なんか見ないからなぁ。疲れるだけだし」
そう言う冴木さんは、無表情になってぼんやりと視線を空へ向けている。今も取り繕っていないことが明らかで、ちょっぴり笑ってしまった。
私が去年花火を見たのは、いろいろあったときだった。それは光の軌跡のように、鮮明に思い出せる。
「今日、母の命日なんです」
唐突に打ち明けると、冴木さんは目を見張って「……え?」と、戸惑いの声をこぼす。
「私も両親がいないんですよ。だから、事情は全然違うけど、冴木さんの苦労はよくわかります」
母の顔を思い浮かべるとまた泣きそうになるけれど、なんとか堪えて言った。冴木さんは気の毒そうな表情になり、目を伏せる。
「そうだったんだ、キョウちゃんも……。俺が君に素を見せられたのは、そういう部分もあったのかもね」
彼はしっとりとした口調で言い、納得した様子で再び夜空を見上げる。同時に、ドーンと大きな音が鳴り響く。
「こんなにじっくり見たの久しぶりかも」
「俺も。この歳になると男同士では花火なんか見ないからなぁ。疲れるだけだし」
そう言う冴木さんは、無表情になってぼんやりと視線を空へ向けている。今も取り繕っていないことが明らかで、ちょっぴり笑ってしまった。
私が去年花火を見たのは、いろいろあったときだった。それは光の軌跡のように、鮮明に思い出せる。
「今日、母の命日なんです」
唐突に打ち明けると、冴木さんは目を見張って「……え?」と、戸惑いの声をこぼす。
「私も両親がいないんですよ。だから、事情は全然違うけど、冴木さんの苦労はよくわかります」
母の顔を思い浮かべるとまた泣きそうになるけれど、なんとか堪えて言った。冴木さんは気の毒そうな表情になり、目を伏せる。
「そうだったんだ、キョウちゃんも……。俺が君に素を見せられたのは、そういう部分もあったのかもね」
彼はしっとりとした口調で言い、納得した様子で再び夜空を見上げる。同時に、ドーンと大きな音が鳴り響く。