早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
今思えば、私が他の人と花火を見ることを、尚くんは案外あっさりと了承した。いつもの調子なら、その前にワンクッションやり取りがありそうなものなのに。
やっぱり、これまで彼も無理して私と一緒にいたのかな。だから引き止めもしなかったんじゃないだろうか。
未和子さんが現れるまでは、そんなふうに考えることはなかった。
彼は私をちゃんと妻として大切にしてくれて、恋人にするようなキスまでされたものだから、関係を進展させることができるかもしれないと、多少の期待すらあった。
しかし、彼女が現れてからの尚くんはどことなく様子がおかしい。例のキスだってそうだ。
あれは、彼が未和子さんと会ったあとのこと。あのキスの真相は、結婚している今、彼女へ向けることができない想いや欲求を私にぶつけたんじゃないか……とまで勘ぐってしまう。
完全にネガティブ思考だ。悪いほうにばかり考えていたら、その通りになってしまうかもしれないのに。
「もう自分が嫌になります……」
「なら、そんな恋はやめて俺にしなよ」
肩を落として弱々しく呟いた直後、凛とした声が耳に届いた。
次の瞬間、冴木さんの椅子と身体が近づいてきたかと思うと、肩に手を回され、ぐいっと抱き寄せられた。
やっぱり、これまで彼も無理して私と一緒にいたのかな。だから引き止めもしなかったんじゃないだろうか。
未和子さんが現れるまでは、そんなふうに考えることはなかった。
彼は私をちゃんと妻として大切にしてくれて、恋人にするようなキスまでされたものだから、関係を進展させることができるかもしれないと、多少の期待すらあった。
しかし、彼女が現れてからの尚くんはどことなく様子がおかしい。例のキスだってそうだ。
あれは、彼が未和子さんと会ったあとのこと。あのキスの真相は、結婚している今、彼女へ向けることができない想いや欲求を私にぶつけたんじゃないか……とまで勘ぐってしまう。
完全にネガティブ思考だ。悪いほうにばかり考えていたら、その通りになってしまうかもしれないのに。
「もう自分が嫌になります……」
「なら、そんな恋はやめて俺にしなよ」
肩を落として弱々しく呟いた直後、凛とした声が耳に届いた。
次の瞬間、冴木さんの椅子と身体が近づいてきたかと思うと、肩に手を回され、ぐいっと抱き寄せられた。