早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
──ギクリ、と胸が軋む音がした。

そうか、わかってしまったんだ……。いつまでも隠せるものではないと思っていたけれど、こんなに早く知られてしまうとは。

私は目を見張って固まり、未和子さんはまぶたを伏せて、口元にだけふっと笑みを漏らした。


「やっぱりそっか。歳が近いと思ってたけど、まさか本当にあなただったとはね。今も彼のそばにいて、しかも同じ会社で働いていたなんて……」


戸惑いと落胆が混ざった声で言う彼女に、私はバッと頭を下げる。


「すみません! この間、どうしても言い出せなくて……」

「それはいいの。あの状況じゃ言えなくて当然よ」


未和子さんは本当に気にしていない調子でそう返した。

しかし、「でも、あなたが少しだけ憎くなった」と、ぽつりとこぼされたひとことが、胸に突き刺さる。


「尚秋の中で、優先順位はいつも野々宮さんが一番だった。あなたの誕生日は絶対予定を入れなかったし、今みたいに風邪をひいたときも、気が気じゃないって感じだったわ」


笑みが消えた彼女の顔には、その代わりにわずかに悔しさが滲む。私の胸は痛く、苦しくなる一方だ。

彼女は強張った表情で、さらにこう続ける。
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