早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
「SHINDOUの専属デザイナーを断った理由のひとつにも、野々宮さんが関わっていると思ってる」
「え……?」
「私たちの会社は海外勤務があって、デザイナーも例外じゃない。彼はそれをとても懸念してた。きっと、あなたを置いていくことが耐えられなかったのよ」
……尚くんは、私のことを思って専属デザイナーになることを断った? 嘘……。
信じられず、戸惑う私の耳に、未和子さんの若干苛立ちを含んだ声が届く。
「海外へ行けば、もっと彼の才能が認められて、大きなチャンスを掴む可能性だってあったはず。小さなデザイン会社のしがない社長で、学生のお守りをしてるような男にはなってなかったわ、絶対」
尚くんの可能性を潰してしまったことに罪悪感を抱く反面、今の彼を否定されたような気がして、反発心も込み上げる。
ネージュ・バリエはSHINDOUのような大企業ではない。それでも、社員を従える責任ある立場で、仕事にもクライアントにも真摯に向き合っている尚くんは立派だ。
私が気に食わないのはわかるが、彼を批判するようなことは言ってほしくなくて、私は膝の上に置いた手をぐっと握りしめる。
「え……?」
「私たちの会社は海外勤務があって、デザイナーも例外じゃない。彼はそれをとても懸念してた。きっと、あなたを置いていくことが耐えられなかったのよ」
……尚くんは、私のことを思って専属デザイナーになることを断った? 嘘……。
信じられず、戸惑う私の耳に、未和子さんの若干苛立ちを含んだ声が届く。
「海外へ行けば、もっと彼の才能が認められて、大きなチャンスを掴む可能性だってあったはず。小さなデザイン会社のしがない社長で、学生のお守りをしてるような男にはなってなかったわ、絶対」
尚くんの可能性を潰してしまったことに罪悪感を抱く反面、今の彼を否定されたような気がして、反発心も込み上げる。
ネージュ・バリエはSHINDOUのような大企業ではない。それでも、社員を従える責任ある立場で、仕事にもクライアントにも真摯に向き合っている尚くんは立派だ。
私が気に食わないのはわかるが、彼を批判するようなことは言ってほしくなくて、私は膝の上に置いた手をぐっと握りしめる。