早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
未和子さんは苦しそうに眉根を寄せ、うっすらと潤む瞳で私を見つめる。
「お願い。尚秋を自由にしてあげて」
切実に懇願され、呆然としたままなにをすることもできなかった。
これまで私は、ただ尚くんを縛りつけて、自由を奪っていただけだった──?
私の存在自体が彼の鎖になっていたように思えて、目の前が暗くなっていく感覚がした。
それからしばらくして、未和子さんは冷静さを取り戻したようだった。
少し反省した様子で、『キツいこと言ってごめんなさい。身体、お大事にね』と声をかけて、その場を去っていった。
私は心が疲弊しきって抜け殻状態だが、仕事をしないわけにいかない。なんとか重い身体を動かしてオフィスに戻り、午後の業務を始めた。
しかし一時間ほど経った頃、熱が上がってきたのか、快適なはずの室内がとても寒く感じるし、頭がぼうっとする。
これはヤバいかも……と危機感を覚えつつ、ファイルを手に腰を上げたとき、立ちくらみがして身体がふらついた。
その瞬間、そばに立っていた冴木さんが、「おっと」と咄嗟に肩を抱いて支えてくれる。
「お願い。尚秋を自由にしてあげて」
切実に懇願され、呆然としたままなにをすることもできなかった。
これまで私は、ただ尚くんを縛りつけて、自由を奪っていただけだった──?
私の存在自体が彼の鎖になっていたように思えて、目の前が暗くなっていく感覚がした。
それからしばらくして、未和子さんは冷静さを取り戻したようだった。
少し反省した様子で、『キツいこと言ってごめんなさい。身体、お大事にね』と声をかけて、その場を去っていった。
私は心が疲弊しきって抜け殻状態だが、仕事をしないわけにいかない。なんとか重い身体を動かしてオフィスに戻り、午後の業務を始めた。
しかし一時間ほど経った頃、熱が上がってきたのか、快適なはずの室内がとても寒く感じるし、頭がぼうっとする。
これはヤバいかも……と危機感を覚えつつ、ファイルを手に腰を上げたとき、立ちくらみがして身体がふらついた。
その瞬間、そばに立っていた冴木さんが、「おっと」と咄嗟に肩を抱いて支えてくれる。