早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
「すみません……!」
「大丈夫? ていうか、身体熱っ! キョウちゃん、すぐ帰ったほうがいいよ」
冴木さんは片腕で私を抱いたまま、もう片方の手を私の額にぺたんと当て、驚きの声を上げた。やっぱり熱があるんだ……。
向かい側にいる鬼頭さんも冴木さんに同意するように頷き、泉さんは駆け寄ってきて私が抱えたファイルを奪う。
「さ、帰った帰った! こんなとこ社長に見られたら、なに言われるかわかんないわ」
茶化して笑う泉さん。私は〝社長〟と聞いただけで心が折れそうになる。
それをひた隠しにして力なく笑い、「そうさせてもらいます……」と言って早退させてもらうことにした。
冴木さんに介抱され、他の社員さんたちにも心配されながら会社を出て、三時半頃にはマンションに帰宅した。
玄関に入った途端、張り詰めていた気が緩んで、靴を脱ぐとすぐにしゃがみ込んだ。背中に汗が流れるが、暑さのせいなのか、熱のせいなのかわからない。
ぐったりして座っていると、ふとお揃いのスリッパが目に入る。
「尚くん……」
ぽつりと呟いた瞬間、仕事中は無理やり考えないようにしていた彼の姿と、先ほどの未和子さんの言葉を思い出して、じわりと涙が込み上げた。
「大丈夫? ていうか、身体熱っ! キョウちゃん、すぐ帰ったほうがいいよ」
冴木さんは片腕で私を抱いたまま、もう片方の手を私の額にぺたんと当て、驚きの声を上げた。やっぱり熱があるんだ……。
向かい側にいる鬼頭さんも冴木さんに同意するように頷き、泉さんは駆け寄ってきて私が抱えたファイルを奪う。
「さ、帰った帰った! こんなとこ社長に見られたら、なに言われるかわかんないわ」
茶化して笑う泉さん。私は〝社長〟と聞いただけで心が折れそうになる。
それをひた隠しにして力なく笑い、「そうさせてもらいます……」と言って早退させてもらうことにした。
冴木さんに介抱され、他の社員さんたちにも心配されながら会社を出て、三時半頃にはマンションに帰宅した。
玄関に入った途端、張り詰めていた気が緩んで、靴を脱ぐとすぐにしゃがみ込んだ。背中に汗が流れるが、暑さのせいなのか、熱のせいなのかわからない。
ぐったりして座っていると、ふとお揃いのスリッパが目に入る。
「尚くん……」
ぽつりと呟いた瞬間、仕事中は無理やり考えないようにしていた彼の姿と、先ほどの未和子さんの言葉を思い出して、じわりと涙が込み上げた。