早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
私、もうここにいられそうにないよ。尚くんと一緒に幸せになりたいけど、そんな夢は持っていちゃいけないんだ。
甘えないで、しっかりしなくちゃ。今だって、感傷に浸っていないで病院に行こう。
ポロリとこぼれ落ちた涙を、手で拭いながらゆっくりと腰を上げる。
確か、リビングのキャビネットの引き出しに保険証をしまってあったはず。結婚してから病院のお世話になったことはないから、しまいっぱなしになっているのだ。
おばあちゃんみたいにヨロヨロと歩いてそこに向かい、一番上の引き出しに手をかける。
それを開けようとすると同時に、そういえば一番上の段は尚くんが鍵をかけていたんだっけ、と思い出した。しかし……。
「あれ? 開いてる」
なんの抵抗もなく開けることができて、私は拍子抜けした。まあ、大雑把な尚くんのことだからかけ忘れたのだろう。
深く考えずに閉めようとしたとき、小物の下にしまわれている書類になにげなく目がいって動きを止めた。なんだか見覚えのある茶色の枠が覗いている。
言いようのないざわめきを覚え、遠慮がちに取り出してみる。そして、目を疑った。
甘えないで、しっかりしなくちゃ。今だって、感傷に浸っていないで病院に行こう。
ポロリとこぼれ落ちた涙を、手で拭いながらゆっくりと腰を上げる。
確か、リビングのキャビネットの引き出しに保険証をしまってあったはず。結婚してから病院のお世話になったことはないから、しまいっぱなしになっているのだ。
おばあちゃんみたいにヨロヨロと歩いてそこに向かい、一番上の引き出しに手をかける。
それを開けようとすると同時に、そういえば一番上の段は尚くんが鍵をかけていたんだっけ、と思い出した。しかし……。
「あれ? 開いてる」
なんの抵抗もなく開けることができて、私は拍子抜けした。まあ、大雑把な尚くんのことだからかけ忘れたのだろう。
深く考えずに閉めようとしたとき、小物の下にしまわれている書類になにげなく目がいって動きを止めた。なんだか見覚えのある茶色の枠が覗いている。
言いようのないざわめきを覚え、遠慮がちに取り出してみる。そして、目を疑った。