早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
……そう、だから、婚姻届を提出するのを忘れていた、なんてことはあるわけがない。
鍵までかけてしまってあったのだ、なにか理由があって出さなかったのは間違いない。
じゃあ、その理由で考えられることは……。
「私と、本当に結婚する気はなかった……」
つまるところ、そういうことなのだろう。
優しい彼は、ひとりぼっちの私を見捨てられなくて嘘をついた。結婚したと思わせれば、私は彼のお世話になるしかなくなるから。
すべては、私のための大きなお芝居だった──?
婚姻届を手にしたまま、ずるずると座り込む。悲しいとか、苦しいとかの感情を覚える前に、あまりにも衝撃的でこの事実を受け入れられない。
具合が悪いことも一瞬忘れ、ただ呆然としていると、バッグの中でスマホが音をたてる。
のっそりとした動きで取り出してみれば、ディスプレイに尚くんの名前が映し出されていて、心臓がドクンと揺れ動いた。
このタイミングで電話? どうしよう、普通に話せる自信がない。でも、今出なくてもきっとまたかけ直してくるだろうから……。
少しだけ悩んだものの、結局応答のマークをタップして耳に当て、「はい」と出た。そして開口一番、焦った調子の声が投げかけられる。
鍵までかけてしまってあったのだ、なにか理由があって出さなかったのは間違いない。
じゃあ、その理由で考えられることは……。
「私と、本当に結婚する気はなかった……」
つまるところ、そういうことなのだろう。
優しい彼は、ひとりぼっちの私を見捨てられなくて嘘をついた。結婚したと思わせれば、私は彼のお世話になるしかなくなるから。
すべては、私のための大きなお芝居だった──?
婚姻届を手にしたまま、ずるずると座り込む。悲しいとか、苦しいとかの感情を覚える前に、あまりにも衝撃的でこの事実を受け入れられない。
具合が悪いことも一瞬忘れ、ただ呆然としていると、バッグの中でスマホが音をたてる。
のっそりとした動きで取り出してみれば、ディスプレイに尚くんの名前が映し出されていて、心臓がドクンと揺れ動いた。
このタイミングで電話? どうしよう、普通に話せる自信がない。でも、今出なくてもきっとまたかけ直してくるだろうから……。
少しだけ悩んだものの、結局応答のマークをタップして耳に当て、「はい」と出た。そして開口一番、焦った調子の声が投げかけられる。