早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
もしも、私が隠された秘密を知ることがなかったら、いつまでこの関係を続けるつもりだったんだろう。
電話をよそにふと考えた瞬間、ずっと忘れていた彼のひとことが、なぜか突然頭に蘇る。
『記念日、いつもみたいに笑ってくれよ』
私がソファで眠ってしまって、彼がベッドに運んでくれたときのことだ。確か、そう言っていたはず。
尚くん、結婚記念日に真実を話そうとしていたのかな。一年というキリのいいタイミングで私に本当のことを打ち明け、この関係を終わらせる予定だったのかもしれない。
だからあの言葉は、〝真実を聞いても、どうか笑っていてくれ〟という意味だったんじゃないだろうか。
なんとなく彼の考えが読めた気がして、妙に冷静になっていく。ようやく覚悟を決めることもできそうだ。
とりあえず今はまだ、私たちの間では〝夫婦〟ということになっているから。今はその嘘に乗っていることにしよう。
熱い息で軽く深呼吸をして、「尚くん」と呼んだ。なにかを察知したように静かになる電話の向こうへ、ひとこと告げる。
「離婚、しようか」
ぽつりとこぼした私の声が、やけに大きく響いた気がした。
電話をよそにふと考えた瞬間、ずっと忘れていた彼のひとことが、なぜか突然頭に蘇る。
『記念日、いつもみたいに笑ってくれよ』
私がソファで眠ってしまって、彼がベッドに運んでくれたときのことだ。確か、そう言っていたはず。
尚くん、結婚記念日に真実を話そうとしていたのかな。一年というキリのいいタイミングで私に本当のことを打ち明け、この関係を終わらせる予定だったのかもしれない。
だからあの言葉は、〝真実を聞いても、どうか笑っていてくれ〟という意味だったんじゃないだろうか。
なんとなく彼の考えが読めた気がして、妙に冷静になっていく。ようやく覚悟を決めることもできそうだ。
とりあえず今はまだ、私たちの間では〝夫婦〟ということになっているから。今はその嘘に乗っていることにしよう。
熱い息で軽く深呼吸をして、「尚くん」と呼んだ。なにかを察知したように静かになる電話の向こうへ、ひとこと告げる。
「離婚、しようか」
ぽつりとこぼした私の声が、やけに大きく響いた気がした。