早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
身長も、髪も伸びて大人っぽくなり、逆になぜか短くなっていく制服のスカートには、いろいろな意味で危機感を覚えた。

当時、二十代後半に突入していた男が、女子高生の露わになった脚にドキッとしているだなんて、完全にアウトだろう。

こんな俺にも、他の男共にも素肌をさらしてほしくなくて、『膝下十センチがトレンドらしいぞ』と適当なことを言ってみたが、やはり長さが変わることはなかった。


ただ、こんな気持ちになるのは杏華に対してだけだと、声を大にして言っておきたい。

他の女子高生はどうでもよかった。それどころか、年相応の女性にもそこまで心を揺さぶられることはなかったのだ。

杏華に悶々としてしまうのは気の迷いだと、仕事に打ち込んでみたり、気が合いそうな女性と付き合ってみたりしたが、後者のほうはうまくいかなかった。

いつ誰と会っていても、頭に浮かぶのはひとりだけ。それはもう家族とか、妹としてではなくなっていることに気づくのは、時間の問題だった。
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