早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
そんな最中、ネージュ・バリエの前社長が辞めることになり、俺がその座に就任したときのこと。
『尚くん社長になったんでしょ!? すごーい! よっ、社長!』
『やめろ、その昭和のかけ声』
『だってお母さんが言ってたんだもん』
『あー……なるほど』
おばさんから俺のことを聞いたらしい杏華と、そんな軽いやり取りをしていたのだが、彼女はすぐに大人びた笑顔を浮かべてこう言った。
『尚くん頑張ってたもんね。好きな仕事をやれてるだけでもすごいのに、皆に認められるって尊敬する。本当におめでとう』
透き通った水のような、純粋な言葉を俺にかけてくれる彼女に、心が洗われる気がした。
あの頃の俺は、未和子の親父さんとの確執で、自分がやっていることはこれでいいのかと悩んでいたから。
SHINDOUに入って海外へ出てみることも悪くはなかったが、大切な人たちがいる今の場所で、ネージュ・バリエをさらに飛躍させるために挑戦したい気持ちのほうが強くて断った。
だが進藤社長は、それを甘えだと捉えたらしい。〝失望した〟と言わんばかりに、それまでの態度から手の平を返されてしまった。
『尚くん社長になったんでしょ!? すごーい! よっ、社長!』
『やめろ、その昭和のかけ声』
『だってお母さんが言ってたんだもん』
『あー……なるほど』
おばさんから俺のことを聞いたらしい杏華と、そんな軽いやり取りをしていたのだが、彼女はすぐに大人びた笑顔を浮かべてこう言った。
『尚くん頑張ってたもんね。好きな仕事をやれてるだけでもすごいのに、皆に認められるって尊敬する。本当におめでとう』
透き通った水のような、純粋な言葉を俺にかけてくれる彼女に、心が洗われる気がした。
あの頃の俺は、未和子の親父さんとの確執で、自分がやっていることはこれでいいのかと悩んでいたから。
SHINDOUに入って海外へ出てみることも悪くはなかったが、大切な人たちがいる今の場所で、ネージュ・バリエをさらに飛躍させるために挑戦したい気持ちのほうが強くて断った。
だが進藤社長は、それを甘えだと捉えたらしい。〝失望した〟と言わんばかりに、それまでの態度から手の平を返されてしまった。