早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜

彼が俺を毛嫌いするようになったのは、大事な娘に恋人として十分な愛を与えてやれなかった俺を憎んでいるせいでもあるとわかっていたが。

同い年で大学が一緒だった未和子は、共通の知人を通して再会し、どちらからともなく付き合ってみようかという流れになった。

彼女の仕事ぶりに尊敬できる部分も多く、軽口を叩き合える仲でもあったので、一緒にいるのは心地よかった。

彼女なら、杏華以上に想えるかもしれない……と期待したが、結局同じことの繰り返しで。

なるべく杏華のことは考えないつもりでいたのに、未和子にはお見通しだったらしく、悲しい想いをさせてしまった。


それらのことで進藤親子に対しての罪悪感もあり、デザインの仕事も否定されて、人知れず落ち込んでいた当時、杏華のなにげない言葉にとても励まされたのだ。

俺がたいした男ではなくても、認めてくれる人は必ずいる。会社にも、すぐ隣にも。そう思える自信を与えてくれた。

そうして、彼女の純粋さやひたむきさに、いつも元気をもらっていることに気づく。

人のいいところを見つけるのが上手だったり、細かい気遣いができてしっかりしているのに、超がつくほど鈍感だったり。そういう姿を見るたび癒された。