早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
しかし、そんな考えは甘かったと思い知ることになる。

外では他人として接し、杏華の恋愛についても口出しはしない……と決めたはずだったのに、彼女がバイトとして俺のもとで働き始めた頃から、他の男とのことが気になって仕方なくなっていた。

夫婦と変わらない日々を過ごしているうちに、彼女への想いはみるみる募り、愛してやりたくてたまらなくなる。嘘の関係を、本物にしたい欲は高まる一方だ。

そうするためには、俺を好きにさせるしかない。


彼女が高校生の間は、年齢的なことがブレーキになって、愛しい気持ちを露わにしないよう制限をかけていた。

だが高校を卒業し、あと一年で成人というところまでになると、いよいよ歯止めが効かなくなってくる。

しかも、ひとつ屋根の下で生活を共にしているのだ。風呂上がりのシャンプーの香りや、濡れた髪、無防備な寝顔……誘惑だらけではないか。いつの間にかすっかり〝女〟になっているし。

美味そうなごちそうが目の前にあるのに手を出せないなど、拷問以外の何物でもないだろう。よくぞここまで理性を保ったと自分を褒めてやりたい。
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