早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
ごにょごにょと話すものだから聞き取りづらいが、今『私の恋路』と言ったよな? 鬼頭にも好きなヤツがいたのか。へぇ、あの鬼頭に……。
微妙に驚いていると、彼女はきりっとした声に戻り、『では、失礼します』と告げた。
俺もとにかく杏華の具合が心配なので連絡を取りたくて、電話を切ってすぐに彼女にかけてみる。
コール音が鳴り止み、彼女が出るのとほぼ同時に「大丈夫か?」と尋ねた。
電話越しでも呼吸が荒いことがわかり、こちらまで胸が苦しくなる。しかしどことなく様子がおかしく、熱のせいだけではなさそうだと感じた、そのときだ。
『離婚、しようか』
──一瞬、自分を取り巻く世界が止まったかのような、無の感覚に陥った。
駅構内の雑踏も、喧騒も気にならなくなり、彼女が発した単語だけが頭の中を巡る。
「キョウ……それは、本気で言ってるのか?」
『うん』
すでに決心しているかのごとく頷いた杏華に、今まで聞くのを躊躇していた質問を投げかける。
「好きなヤツができたのか?」
その問いに答えるまでには間があった。泣いているのがわかり、胸が引き裂かれそうになる。
微妙に驚いていると、彼女はきりっとした声に戻り、『では、失礼します』と告げた。
俺もとにかく杏華の具合が心配なので連絡を取りたくて、電話を切ってすぐに彼女にかけてみる。
コール音が鳴り止み、彼女が出るのとほぼ同時に「大丈夫か?」と尋ねた。
電話越しでも呼吸が荒いことがわかり、こちらまで胸が苦しくなる。しかしどことなく様子がおかしく、熱のせいだけではなさそうだと感じた、そのときだ。
『離婚、しようか』
──一瞬、自分を取り巻く世界が止まったかのような、無の感覚に陥った。
駅構内の雑踏も、喧騒も気にならなくなり、彼女が発した単語だけが頭の中を巡る。
「キョウ……それは、本気で言ってるのか?」
『うん』
すでに決心しているかのごとく頷いた杏華に、今まで聞くのを躊躇していた質問を投げかける。
「好きなヤツができたのか?」
その問いに答えるまでには間があった。泣いているのがわかり、胸が引き裂かれそうになる。