早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
薬の成分は妻恋プレッジ99%
……あれ、身体が痛くて重い。石になる呪いでもかけられたかと思うくらい動かせない。
なんだ、この固い床は。冷たくて気持ちがいいけど痛いよ。どうして私はこんなところで横になっているんだろう。
「……ウ……キョウ……!」
ぼうっと考え始めたとき、私の大好きな声が頭の中に響いてきた。なんだかとっても焦っているみたい。
「キョウ! おい、しっかりしろ!」
どんどん声がはっきりと聞こえるようになってきて、上体を起こされる感覚でうっすらと瞼を開いた。
血相を変えた尚くんの顔がぼんやり見え、とりあえず名前を呼ぼうと口を開く。が、喉が熱く、カラカラに渇いていてうまく声が出せない。出るのは咳だけ。
それを察してか、彼はすぐに水を持ってきてくれて、私はとにかく喉を潤した。
「大丈夫か? この様子だと病院に行ってないんだろ。ったく、しょうがねぇから救急に──」
尚くんは怒ったような口調で言い、抱きかかえようとする。私はこれが夢か現実かまだはっきりしないまま、慌てて声を絞り出す。
「待って……大丈夫、だから」
彼の袖をきゅっと掴むと、潤んでいる瞳で見上げた。