早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
すかさず反論し、ぎゅっと下唇を噛んだ。言葉にするとつらさが増して、顔を上げていられない。

尚くんは変わらず冷静に話しだそうとする。


「キョウ、そのことだが──」

「ごめんね」


罪悪感が込み上げて、つい話を遮ってしまった。口をつぐむ彼に、震える声で言う。


「私を見捨てられなくて、嘘をついてまで助けてくれたんでしょ? 尚くんがいろんなことを諦めて私を守ってくれてるってわかってたのに、甘えっぱなしでごめん。結局私は、いつまでも子供のまま……」


なにもできない無力さを思い知らされて、じわりと涙が浮かんだ。こんな未熟な私が、女として見てもらえているわけがない。


「それで俺から離れようとしたのか? 自分が負担になってると思って?」


切なげな声色で確かめられ、私は俯いたまま小さく頷いた。

尚くんのことだ。私が離れたいと言えば、その意志を優先するはず。花火大会のときみたいに、きっと追ったりはしない。

その予想は間違っておらず、彼はすっと立ち上がる。


「じゃあ、お前の望み通り、これからは俺の好きにやらせてもらう」


きっぱりと言い、さっさと部屋を出ていく彼の姿を見て、胸に大きな痛みが走った。
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