早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
意地悪な彼は、むくれる私の頭をポンポンと撫でたあと、なにやら小さな箱を開け始める。婚姻届以外にもなにか持ってきていたらしい。
首を傾げてその様子を眺めていた私は、彼の指先にキラリと輝くものが見え、目を見張った。
尚くんはこれまで以上に誠実で、温かな笑みを湛え、私の左手を取る。
「キョウがそばにいるから頑張れることがたくさんある。俺は、お前を愛せるだけで幸せなんだ」
夢にまで見た言葉がかけられると共に、薬指に綺麗なプラチナのリングが通され、胸が震えた。
私には豚に真珠と言うべきそれは、植物のつるのような曲線を描くリング。その中央には、花を象った存在感のあるダイヤが一粒輝いている。
……もしかして、尚くんも覚えていたの? ふたりで行ったショッピングモールで、小学生だった私が、花をモチーフにした指輪に憧れの眼差しを向けていたことを。
あのとき、おもちゃの指輪を買ってくれた彼は、それを今のように私に嵌めながらこう言ったのだ。
『本物の指輪は、将来キョウのことを心底好きになった男がくれるよ』
その男性が、あなた自身になるだなんて──。
首を傾げてその様子を眺めていた私は、彼の指先にキラリと輝くものが見え、目を見張った。
尚くんはこれまで以上に誠実で、温かな笑みを湛え、私の左手を取る。
「キョウがそばにいるから頑張れることがたくさんある。俺は、お前を愛せるだけで幸せなんだ」
夢にまで見た言葉がかけられると共に、薬指に綺麗なプラチナのリングが通され、胸が震えた。
私には豚に真珠と言うべきそれは、植物のつるのような曲線を描くリング。その中央には、花を象った存在感のあるダイヤが一粒輝いている。
……もしかして、尚くんも覚えていたの? ふたりで行ったショッピングモールで、小学生だった私が、花をモチーフにした指輪に憧れの眼差しを向けていたことを。
あのとき、おもちゃの指輪を買ってくれた彼は、それを今のように私に嵌めながらこう言ったのだ。
『本物の指輪は、将来キョウのことを心底好きになった男がくれるよ』
その男性が、あなた自身になるだなんて──。