早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
にっこりと笑いかける冴木さんに、鬼頭さんは平静を保つように眼鏡を押し上げて答える。
「あ、ああ、そうですね。またチームの皆で──」
「ふたりがいいです。できれば」
真剣で力強さのある声に遮られ、鬼頭さんは目を見開いて硬直した。
私は叫びそうになるのを堪えて口を手で覆う。冴木さんは「考えておいてください」と言い、可愛さを控えた大人っぽい笑みを残してオフィスを出ていった。
泉さんと目を見合わせると、ふたりして一目散に鬼頭さんのもとに駆け寄る。
「なんかわかんないけど、やったじゃないですか鬼頭さ~ん!」
「冴木さんのほうから誘ってくるなんて……あーもー大興奮です!」
近くに人がいないのをいいことに、彼女を取り巻いてはしゃぐ私たち。しかし、当の本人は魂が抜けたかのごとく呆然としている。
どうやらキャパオーバーだったらしい。泉さんも「ダメだ、バグっちゃった」と苦笑した。
冴木さんはきっと、花火を見ながら話したときに、鬼頭さんが自分のことを理解してくれていることに気づいたんだ。
まだ恋愛感情ではないかもしれないけれど、もっと親しくなろうとしていることには違いないだろう。
「あ、ああ、そうですね。またチームの皆で──」
「ふたりがいいです。できれば」
真剣で力強さのある声に遮られ、鬼頭さんは目を見開いて硬直した。
私は叫びそうになるのを堪えて口を手で覆う。冴木さんは「考えておいてください」と言い、可愛さを控えた大人っぽい笑みを残してオフィスを出ていった。
泉さんと目を見合わせると、ふたりして一目散に鬼頭さんのもとに駆け寄る。
「なんかわかんないけど、やったじゃないですか鬼頭さ~ん!」
「冴木さんのほうから誘ってくるなんて……あーもー大興奮です!」
近くに人がいないのをいいことに、彼女を取り巻いてはしゃぐ私たち。しかし、当の本人は魂が抜けたかのごとく呆然としている。
どうやらキャパオーバーだったらしい。泉さんも「ダメだ、バグっちゃった」と苦笑した。
冴木さんはきっと、花火を見ながら話したときに、鬼頭さんが自分のことを理解してくれていることに気づいたんだ。
まだ恋愛感情ではないかもしれないけれど、もっと親しくなろうとしていることには違いないだろう。