早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜

そうか、私も久礼になったんだ。……うわ、なんだかくすぐったい。

ふたり並んで歩きながら照れ隠しで目を伏せると、大きな手が私の頭に伸びてきて、彼の胸へと引き寄せられる。


「もうなにも心配するな。俺は一生、お前のものだよ」


胸がトクンと優しく鳴った。甘い囁きが、私を安堵と幸福で満たしてくれる。

この素敵すぎる旦那様をいつまでも大切にしよう、と改めて誓いながら、こくりと頷いた。


大事な用件を済ませたあとは、尚くんの車に乗り込む。次に向かう先は、私は初めて行く熱海だ。

いつの間にか尚くんが熱海の宿を手配してくれていて、今夜はそこで一泊する。まさか彼がこんな計画を立てていたとは思わなかったから、とっても嬉しい。

思えば、ふたりで旅行をするのも初めてだ。比較的近場とはいえ、非日常感はたっぷり味わえそう。

その期待通り、目的地に着くと日常を忘れて観光を楽しんだ。

街と海を一望できる熱海城に昇ったり、荘厳な美術館で芸術に触れたり。暗くなるにつれてライトアップされるサンビーチも、幻想的でうっとりする。