早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
そうして最後にやってきたのは、名の知れた霞浦グループが手がけるリゾートホテル。和と洋が絶妙に融合したハイセンスなホテルで、足を踏み入れた瞬間に満足するほど。

早めにレストランでいただいた夕食もとても美味しかったし、海を眺めながら入る温泉も最高。

今日一日で、これまで生きてきた十九年分の贅沢をしたような気分だ。

ホテルで貸し出している浴衣に着替えて、広々としたスイートルームに戻った私は、満たされたため息をつく。


「はあ……本当に夢みたい。こんなに幸せでいいのかな」


お風呂セットをしまって独り言をこぼすと、後ろからそっと抱きしめられた。

私と同じくシャンプーの香りを漂わせる旦那様が、耳元で囁く。


「これからもっと幸せにしてやろうと思ってるんだけど。満足するには早いぞ」


セクシーな声にぞくりとさせられ、私は思わず唇をきゅっと結んだ。

い、今の言葉って、初夜を意味してるのかな……? もうそのお時間なんでしょうか。やばい、心臓が破裂しそう。

緊張しまくって硬直していると、スッと身体が離された。そして、よく似合っている鈍色の浴衣姿も色気ありすぎな彼に手を引かれる。
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