早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
本当に、いいの? まだまだ長いあなたの人生に、一緒に居続けるのが私でも……。
心の中で問いかけ続けていると、私の両腕が優しく掴まれた。瞳には、雲間から淡い光を覗かせた月と、彼の頼もしく美しい顔が映る。
『だから、これからも遠慮なく俺に甘えろ。今も、泣きたいだけ泣けばいい。おばさんの分まで、俺がお前を支えてやりたいんだ』
──たぶん、真摯な声が胸に沁み込んだその瞬間に、やっと母がいなくなったことを実感したのだと思う。
堰を切ったように大粒の涙が溢れて、小さな子供みたいに声を上げて泣いた。尚くんは、しゃくり上げる私をそっと胸に引き寄せて、いつまでも抱きしめてくれていた。
人並みではない結婚をして、私たちが幸せになれるのかはわからない。ただ、心地いい胸の中で、全身に伝わってくる夏の音を聞いて思ったんだ。
今は遠くで音を響かせているだけの花火を、この人と一緒に見たい。
いつもの部屋の風景も、まだ目にしたことのない景色もふたりで見たいし、いつまでもこの腕のぬくもりを感じさせてほしい。
きっと、これもひとつの〝愛〟なんだ──って。
心の中で問いかけ続けていると、私の両腕が優しく掴まれた。瞳には、雲間から淡い光を覗かせた月と、彼の頼もしく美しい顔が映る。
『だから、これからも遠慮なく俺に甘えろ。今も、泣きたいだけ泣けばいい。おばさんの分まで、俺がお前を支えてやりたいんだ』
──たぶん、真摯な声が胸に沁み込んだその瞬間に、やっと母がいなくなったことを実感したのだと思う。
堰を切ったように大粒の涙が溢れて、小さな子供みたいに声を上げて泣いた。尚くんは、しゃくり上げる私をそっと胸に引き寄せて、いつまでも抱きしめてくれていた。
人並みではない結婚をして、私たちが幸せになれるのかはわからない。ただ、心地いい胸の中で、全身に伝わってくる夏の音を聞いて思ったんだ。
今は遠くで音を響かせているだけの花火を、この人と一緒に見たい。
いつもの部屋の風景も、まだ目にしたことのない景色もふたりで見たいし、いつまでもこの腕のぬくもりを感じさせてほしい。
きっと、これもひとつの〝愛〟なんだ──って。