早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
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新聞の間に挟まっていた、花火大会の折込チラシを手にして、私は十一ヵ月前のことを思い出していた。
ここまであっという間だったから、まるで昨日のことのようだ。
時刻は夜の八時。もうすぐ帰ってくる尚くんのために、夕飯はバッチリできている。
花火の時期になったら、きっと何年経っても毎年思い出すんだろう。母のことはもちろん、唐突なプロポーズをされた日のことも。
あれから数日後、私たちは本当に夫婦になり、私が高校を卒業してからはこのマンションへと引っ越した。ふたりで悠々と暮らせる2LDKで、ホテルライクな雰囲気の部屋は尚くんのセンスが光っている。
彼のご両親には電話で報告をしたものの、私の受験や新生活の準備でバタバタしていたため、まだ会いに行くことはできていない。
未成年と結婚だなんて、きっと反対されるだろう。そう覚悟していたのに、『結婚すると決めたなら、杏華さんを一生守りなさい』と忠告しただけで、案外すんなりと許してくれたのだ。
むしろ、尚くんが男兄弟だからか、『娘ができる!』と意外にも喜んでくれた。さすがは尚くんのご両親だ、心が広い。