早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
首元のボタンを外したセクシーな尚くんは、なにかを探るような目をして私の顔を覗き込む。


「まずは、朝のことを教えてもらわないと」


じっと見据えながら言われ、そうでした!とはっとする。帰ったら、今朝私がひと足早く出た理由を話そうと思っていたのに、肝心なことを忘れていたわ。

私はIHの火力を弱めて、くるりと後ろを向く。そしてキリッとした顔を作り、彼をじっと見上げて口を開いた。


「健康診断の結果を頂戴しました。尚くん、ずっと持ってこないから。封を開けてすらいないってどういうこと」

「あー、そういえばそんなもんあったな」


とっても呑気かつ適当な調子で応えるので、私はむっと仏頂面になる。

旦那様の健康に気を配るのも、大事な妻の役目だろう。尚くんは夜型の生活になりがちだし、お酒も好きだし。

身体に異常はないか確認したいのに、催促してもいつも忘れてくるものだから、私が直接持ってきてしまおうと思ったのだ。

尚くんにとってはたいしたことじゃないかもしれないけど、私にとっては重要なことなのよ。
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