早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜

「お前は無防備すぎて困るよ。俺に食われたらどうすんだ」


ドキリとする言葉に、思わず目を開きそうになった。

〝尚くんはそんなことしないでしょう〟とあしらう気持ちと、〝食べられるものならどうぞ召し上がれ！〟という大胆な気持ちが生まれる。

でも、これは夢だったりして。

現実との境があやふやな状態で、身体も気分もふわふわとしているうちに優しくベッドに下ろされた。夫婦であるにもかかわらず寝室は別なので、私の部屋のベッドだ。

ああ、気持ちいい。寝心地のいいそこに横になり、あっさりとまた眠りに落ちそうになったとき。

頬にそっと手が触れ、どこか神妙な声がぽつりとこぼれる。


「……記念日、いつもみたいに笑ってくれよ」


……そう言ったと思うが、定かかは自信がない。

なに、今のひとこと。どういう意味？

心の中で問いかけるも、襲ってくる睡魔には勝てない。このままじゃ、きっと朝起きたときには忘れてしまうのに……。

ほんのかすかな胸のざわめきを覚えるも、「おやすみ」という穏やかな声にいざなわれて、再び意識は深いところへと落ちていった。