早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
● 早熟な夫婦 ●
糖度30%のブライダル・シミュレーション
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高校最後の十二月、翌月に入試を控える私は、やや元気のない日々を過ごしていた。
芦萱デザイン専門学校は書類審査と面接をクリアすれば入れるが、私はできるだけお金をかけないように特待生入試を受けることに決めていたため、学力試験もある。
AO入試や推薦入試の人たちが次々と合格していくのを見ていると、なんとなく焦りや不安が湧いてきて、クリスマスが近づいてきても浮かれるような気分ではなかった。
それに、今年は母がいない。毎年、忙しくてもケーキを買ってきてくれて、一緒にごちそうを作っていたのに。
やっと母がいない生活を受け入れられるようになっていたが、ふとしたときに寂しさに襲われて、どうしようもなく泣きたくなる。
クリスマスの一週間前も感傷的になっていたところへ、尚くんがやってきた。
まだ部屋は隣同士で、毎日会ってはいるものの、結婚はただ戸籍の上だけで成り立っている状態だ。
土曜日のお昼過ぎ、ノートを開いているだけでなかなか勉強が進まない私に、彼は意味深な笑みを浮かべて言う。
「キョウ、ちょっと付き合ってくれ。勉強の気晴らしついでに」