早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
この人、なんとなく苦手かも……というタイプの人もいるにはいるけれど、特別支障があるわけではない。
そのうちのひとりが、泉さんに続いて現れた、ディレクターの鬼頭(きとう)さん。仕事は早く正確で、主にWeb制作に携わっているものの、デザインのスキルも持ち合わせている有能な女性だと評判だ。
先月の誕生日で二十七歳になったという彼女は、いつも長い黒髪をきっちりひとつにまとめたスタイルで眼鏡をかけ、服装に決まりのないこの会社でもだいたいレディーススーツを着ている。
そのお堅い印象の通り、口を開けば誰に対しても敬語で、表情も豊かなほうではない。掴めない人だから、少々絡みづらいのだ。
でも、だからこそ仲良くなれたら素敵じゃないだろうか。そう思い、あえて自分から話しかけたりもしている。
謎のチャレンジ精神で今日も話しかけてみようと、私はメモ帳とペンを手に、オフィスの壁に設置されたロッカーに荷物をしまっている鬼頭さんに近づく。
「鬼頭さん、来週の勉強会のランチなんですが、なにかリクエストありますか?」
私の問いかけに、彼女はこちらを振り返って動きを止めた。
そのうちのひとりが、泉さんに続いて現れた、ディレクターの鬼頭(きとう)さん。仕事は早く正確で、主にWeb制作に携わっているものの、デザインのスキルも持ち合わせている有能な女性だと評判だ。
先月の誕生日で二十七歳になったという彼女は、いつも長い黒髪をきっちりひとつにまとめたスタイルで眼鏡をかけ、服装に決まりのないこの会社でもだいたいレディーススーツを着ている。
そのお堅い印象の通り、口を開けば誰に対しても敬語で、表情も豊かなほうではない。掴めない人だから、少々絡みづらいのだ。
でも、だからこそ仲良くなれたら素敵じゃないだろうか。そう思い、あえて自分から話しかけたりもしている。
謎のチャレンジ精神で今日も話しかけてみようと、私はメモ帳とペンを手に、オフィスの壁に設置されたロッカーに荷物をしまっている鬼頭さんに近づく。
「鬼頭さん、来週の勉強会のランチなんですが、なにかリクエストありますか?」
私の問いかけに、彼女はこちらを振り返って動きを止めた。