早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
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七月も終わりに近づいた頃、私は尚くんがデザインしたブライダルフェアのチラシをワークスペースで眺め、クリスマスのことを思い返していた。
あのあと、私の顔は真っ赤に熟れたりんご状態で、冬なのに汗まで掻いてしまって、戻ってきた式場のスタッフに若干心配されたことは言うまでもない。
キスまで再現することなかったのに!と、しばらく文句をつけていたが、最高にドキドキして、嬉しかったのは事実。
この出来事が、尚くんに抱く感情は恋なのだと自覚するきっかけになったのだと思う。経験豊富な彼にしてみれば、あんなキスはきっと挨拶程度のものだったのだろうけど。
とにもかくにも、私のファーストキスを奪ったのは、他でもない旦那様なのだ。
キスをしたのはもちろんあの一回限りで、冗談で迫られることはあっても、本当にすることはない。あれは夢を見させてくれただけなんだよね……。
少々切ないため息をこぼし、作業を始めようとしたとき、いつの間にか向かいの席に尚くんが座っていることに気づいた。彼は若干怪訝そうに私を見ている。