早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜

泉さんも私とほぼ同じ印象を抱いているし、特に問題があるとは感じていないようだ。冴木さん自身になにかあると思うのは、やっぱり鬼頭さんくらいなんだろう。

そんなに気にすることじゃないか、と自己完結させ、冷たい麦茶を一口飲んだ。そんな私を見て、泉さんは意味深な笑みを浮かべる。


「キョウちゃんも同じようなタイプだし、冴木くんとお似合いだと思うよ～。社長もいいんだけど、やっぱり年が近いほうがよさそうだしね」

「っ、社長？」


冴木さんとお似合いだと言われたことよりも、尚くんが出てきたことにドキッとして繰り返した。

泉さんはニンマリと表情を緩め、頬杖をついて言う。


「どう考えたって、あれはキョウちゃんのことが好きでしょう。アラサー独身男がただのお気に入りであそこまで干渉してるんだとしたら、いろんな意味で心配になるよ」

「そ、そうですかねぇ……」


私はものすごく複雑な心境で、曖昧な返事と苦笑いを返した。

彼女の言う通りだが、私と尚くんは特殊な関係なのだ。干渉する理由も、昔から面倒を見ていた延長であって、好意はあるとしても恋愛感情ではないはず。