早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
それを知っているのは社内では私たちだけだし、泉さんみたいに思うのも当然だ。本当に好きになってくれていたら、なんの問題もないのに。
もどかしい気持ちを抱く私をよそに、泉さんは厳しい表情になって忠告する。
「社長だからって遠慮することないんだから、気がなかったらはっきり言いなよ。〝あなたのせいで男が寄りつかなくてお嫁に行けなかったらどうすんですか、このでろ甘社長が!〟って」
「……言えません」
いろいろな意味で無理です。と、心の中で呟き、微妙な顔で小さく首を横に振った。
泉さんも他の社員も、私と尚くんが本当は夫婦だと知ったらどんな反応をするだろう。やっぱり、って思うかな。それとも、引かれてしまうだろうか。
先ほどの、『年が近いほうがよさそう』という泉さんのひとことが蘇ってくる。
私と尚くんじゃ、釣り合わないのかもしれない。年齢的にも、立場的にも。
これまでに何度も感じていた些細な不安が、今またむくむくと湧いてくる。それを消し去りたくて、私は運ばれてきたミックスフライ定食に意識を移し、きつね色のエビフライにかじりついた。
もどかしい気持ちを抱く私をよそに、泉さんは厳しい表情になって忠告する。
「社長だからって遠慮することないんだから、気がなかったらはっきり言いなよ。〝あなたのせいで男が寄りつかなくてお嫁に行けなかったらどうすんですか、このでろ甘社長が!〟って」
「……言えません」
いろいろな意味で無理です。と、心の中で呟き、微妙な顔で小さく首を横に振った。
泉さんも他の社員も、私と尚くんが本当は夫婦だと知ったらどんな反応をするだろう。やっぱり、って思うかな。それとも、引かれてしまうだろうか。
先ほどの、『年が近いほうがよさそう』という泉さんのひとことが蘇ってくる。
私と尚くんじゃ、釣り合わないのかもしれない。年齢的にも、立場的にも。
これまでに何度も感じていた些細な不安が、今またむくむくと湧いてくる。それを消し去りたくて、私は運ばれてきたミックスフライ定食に意識を移し、きつね色のエビフライにかじりついた。